肉を噛みたい。

おもにいぬになりたいひとのしをかいてます。

瞼閉じれば

あなたが 名前を呼んで お休みを言うとき あなたはきっと わたしの頭を撫でている そんな瞼のうらっかわ シングルベッド ひとり閉じた瞼のうらっかわ わたしもこっそり あなたの名前を呼んで おやすみを言う わたしもあなたを撫でている ありもしない犬の毛…

指先で触れるキスをして

心臓が、止まる。 何度もくれた愛しい言葉に、心臓が止まる。 きっとあの頃とは、感じ方は違っているのだけどそれでも間違いなく貴方の「かわいい」に心臓が何度も止まる。 背中の毛が燃えるような恥ずかしさと嬉しさが私の心をいっぱいにする。 星は私の手…

はみがき

朝起きて歯を磨く 朝ごはん食べて歯を磨く 昼ごはん食べて歯を磨く 夜ごはん食べて歯を磨く 毎日繰り返す大切なこと 朝起きておはようと言う 行ってきますと言う 仕事から帰ったらただいまを言う そして、おかえりと言う 寝る前にはおやすみ、と。 全部大切…

混沌

混沌として整然とした感情に 押し潰されて 流れていく 貴方を諦めたくない と 口にする事さえ ままならない 今の自分に 貴方を掴む 勇気がない のに 離したくない のに 逃げ出したい のに 逃げたくない 簡単なことだ ただただ 好きなのだ たった一人のあなた…

しがふたりをわかつとき

いつかその時が来たら と君が言う その時が来たら笑って見送ってくれ 君が泣くと哀しいから 君はなんて大馬鹿野郎なのでしょう 君の死は悲しい 君の死は尊い 君の死は愛おしい 君の死は 死にたくなる

あの日の林檎

甘く甘く そして苦い 林檎 初めて私を見つけてもらった 苦くて甘い、居場所をくれた あの日くれた林檎は今もそうっと包んで宝箱 奥底に滲み出す猛毒の林檎の甘い甘い汁 宝箱は甘い猛毒の汁でだんだんくすんでいく じわり じわり じわ り じわ り じわっ 林檎…

いつかのラブレターは燃やしてしまった

いつかのラブレターは燃やしてしまった あんなに想いを込めて書いたのに 燃やしてしまった 耐えられなかったんだと思う 自分の想いの重さに 自分の調子の良さに 一生 というの時間の長さに ビビって引っ込めた左手 覚悟が決まらない それでも 絶えず貴方を思…

眩い朝日に燃え尽きる背中

まだ温かい布団の中、ひとり貴方を思い出す。 燃え盛る炎の中でただただ私を抱きしめている。 体の全てが燃えちぎれて 動かないはずの両手で抱きしめ合う。 途切れる呼吸 繋ぐ互いの口付け 視界を曇らす涙 確かに感じた互いの体温 ひとつの大きな炎となって …

夜明の女

働き蟻の蠢く彼は誰時、工場の鈍色の灯りと白い白い煙に炙り出された美しくも不気味な空には、鋭い三日月が心許なさそうに微笑んでいた。 突然、心を掴まれた気がした。 なぜだか、鋭いあの三日月が寂しそうなあなたの横顔に見えてしまったのだ。 今すぐにで…

目玉焼きになりたい

目玉焼きになりたい 私と2人写る写真はまるで目玉焼き 2人して真白のTシャツ 逃げる笑顔と それでも嬉しそうな笑顔とが くっついてとけあって まるで双子卵の目玉焼き きみときみとは溶け合わず しろみだけが溶け合って一つに なったきがした ただずっと 溶…

こしょこしょばなし

つかまえた 君の瞳のその奥に 隠したはずのキラキラが 零れて落ちて 拾い集めたキラキラの 内緒話が聞こえるよ あまいキラキラ からいキラキラ もっとあまいキラキラと もっともっとあまいキラキラが 私の耳を擽るように 囁いて 今夜も貴方を想って 夢をみる

痛み

呼んでいる 心の奥から 腹の奥から 鈍く鋭い痛みが 私を呼ぶ あなたの言葉に心が痛み あなたの残した心に腹が痛む 繰り返し 繰り返し 鈍く鋭い痛みが 私を呼ぶ それはまるで 月の満ち欠け 潮の満ち干き けれど 満ちてもいなければ 欠けてもいない ただの 痛…

なんにもない

ない ないな ないない いやある やっぱりない そうしてつかれて 泣きじゃくって まぶたとまぶたが くっついて おやすみなさい おはよう 今日もない 昨日もなかった 明日もきっとない どうしてないの ぼくとはなんにも ないんだね

窓の下

シーツのシワ うろこ雲のうらがわ 本当はこっちが表かな 海の岩場のような鋭い雲 濃い朱色から紅色に 遠くでは紫になる空の上雲の上 窓の下には町灯がちかちかぽわぽわ 大きな川や山に沿ってあかりが滲む 街は金色 深緑のカーテン 裾野には夜色の川 ひかりの…

小指にキス

右手の小指にキスをする あなたの匂いに心が沈む 匂いに沈むと温かさで眠たくなる それで、とにかくキスをしたくなる 必ず、する 必ず、小指にキスをする なんの意味もないけれど それが私の隠した気持ち きっと溢れて すでに見つかっているんだろうけど 右…

泳いでいたい

これは恋だし愛だ。 恋を終わらせるのは多分愛だ。 愛の始まりは多分恋。 そのどちらともつかないまんなかを 悠々と泳いでいたい。 壊したいわけでも終わらせたいわけでも なにかを始めたい訳でもないのだが いつもなにか、勢い余る。 泣きたくなる。

夏の残り香

まだ少しの夏が 肌の上をなぞる湿度が 私を抱きしめるあの日の君の照れた顔も、眩しい太陽も、 照り返す水面、くすぐる潮風、iPodの音楽 全部あの日、ノートと捨てた捨てたノートの内容だって全部覚えている 何度も何度も読んだから 何度も何度も思い出した…

aで始まってiで終わる

そんな大げさな そんなやっかいな そんな優しさで そんな苦しさで 私を蝕む まるで呪い まるで憎しみ まるで悲しみ まるで、まるで その言葉を飲み込んで 踊らされて ずっこけちゃって そしたらあなたが拾い上げて 結局こぼしちゃう たったひとつの

稲妻

視界の端を小さな稲妻が走り抜けた 小さな、まるでトビウオのような一瞬の けれど強かな光だ その瞬間に思い出す あなたの眼が私を貫いたあの光 あれと似ていた だから急に、苦しくなって 愛おしさが込み上げた 苦しいと気持ちいいは紙一重だった その息苦し…

夏の暑さに沈む背中

ふと見上げる あの日もこんな空だった ふと俯く あの日もこの道だった 気がつけば季節は移ろい また夏が来る 夏に、なる 溶けてひとつ、またひとつ、 夏になる

夜の白髪

夕日が沈んで夜が始まる 夜の始まりのいろが見えた 今日は少し天気がわるいみたい 夜空が濁ってる ほんのり深く広がる夜の色 薄く出来たグレーの雲 ふと見上げると 白髪が1本長いのが生えていた しばらくすると 白髪は2本 ほんのすこし ぼうっとしている間に…

さむいから。 迷子になるから。 お誕生日の前祝いだから。 なんでもいい。 手を繋ぎたかった。 肌と肌を触れ合わせて、 あなたの体温を感じたかったから。 握りしめた右手がじんわり湿って だんだんと思い出す。 あなたが、わたしが、 混ざりあって溶け合っ…

その手に触れるたび、 その手に触れられるたび、 殺されたいと思う。 ただ一人、貴方だけに。 それが叶わないのなら 私の気の済むまでその手で 私の髪を撫で付けていて欲しい。 たぶん、すごく、 あいしている貴方だけに。

Good night.☪︎

触れてほしい 唇に 瞼に 頬に そのやわらかな唇で 触れてほしい 掌に 首に 胸に 触れてほしい 心に 触れてほしい ちいさな爪が 触れられぬもどかしさを 掻きむしる 濡れた頬に そっと優しく あたたかく 触れてほしい 貴方の唇で 今夜もあわく滲む 夜空を睨み…

光る魚

金曜の夜、私は魚になる。 両手のつめに重ねられた きらきらの淡いあおみどりの乳白色が 私を光る魚にしてくれる。それはまるで、鱗のよう。 昔読んだ鱗がにじいろのさかなの絵本を思い出す。 あの魚もきっと、きれいなきらきらなのだ。光る魚は自由に、好き…

流るる

全てはこの川を通る。 大きな川だ。 何もかも流れてゆく。 魚も蟹も草木も、舟も人も、全て。 色も。 朝陽が登って、夕陽が沈む。 それだけのあいだに、たくさんの色が流れる。 朝陽や夕陽は、ほんとうは だれの、涙なのだろう。 零れ落ちる光のつぶは、まる…

震え。

あなたの声に大きくふるえる。身体ではなく、心が。 溺れてしまいそうになる。降り積もるあなたの声に、溺れそうになる。降り積もるのはやがて溶ける雪ではなく、 私を絞め殺す柔らかな綿。あなたのその優しい感情の光の波は大きく渦を巻いて私を呑み込む。…

いきている

それはまるで雨のように私の心を濡らし、まるで夏の昼下がりの心地よい風が昼寝をする私の顔を撫でるように優しく撫でる。時には雷のように私の心を震わせ、時には真夏の太陽のように私の心を照り尽す。 雨粒に揺れる木の葉や、風にあおられる切りすぎた前髪…

貴方の色

貴方の色が好きだ。 それは誰にもない、貴方の色。 貴方だけの色。 なにいろでもないのだ。 その色は紛れもなく、貴方の色なのだ。 貴方に私は何色に見えているのだろうか。

息ができないほど

静かに息を潜めている。 私の心の奥で静かに息を潜めているそれは、生まれてからずっと一緒に来たそれは心の奥でずっとその時が来るのを覗っていた。 そう、私の心の中から「外」に出る日を。 私は知っている。 それが何であるかを。 私は知っている。 それ…