肉を噛みたい。

おもにいぬになりたいひとのしをかいてます。

光る魚

金曜の夜、私は魚になる。
両手のつめに重ねられた
きらきらの淡いあおみどりの乳白色が
私を光る魚にしてくれる。

それはまるで、鱗のよう。
昔読んだ鱗がにじいろのさかなの絵本を思い出す。
あの魚もきっと、きれいなきらきらなのだ。

光る魚は自由に、好きなところへ行く。
あのひとに、会いにゆく。
瞼を閉じて会いにゆく。
その瞬間、とてもとても、幸せなのだった。
そうして2日、光る魚になったら
鱗を剥がして人間になる。
剥がした鱗は、

鱗は浴槽のふちにそうっと貼り付ける。
すこし気持ち悪いが、
最近の私のちょっとした気持ちいいこと。

鱗を剥ぐたび、
あなたへの溢れすぎてしまう
どうしようもないこの気持ちと一緒に
浴槽のふちへと
追いやるのだ。

月曜が来る前に鱗を剥がし、
金曜の夜にはまた、鱗を生やす。
光る魚になってあちらこちら
きらきらと游ぐ。

きらきらと游ぐ。
きらきらと游ぐ。
きらきらと…