2020-01-22 夜明の女 詩 にっきのようなもの 物語 短篇 働き蟻の蠢く彼は誰時、工場の鈍色の灯りと白い白い煙に炙り出された美しくも不気味な空には、鋭い三日月が心許なさそうに微笑んでいた。 突然、心を掴まれた気がした。 なぜだか、鋭いあの三日月が寂しそうなあなたの横顔に見えてしまったのだ。 今すぐにでも抱き締めてやりたくて、思わず手のひらをひろげたが、空虚なうす暗闇が踊っているだけだった。 浅ましい私を嘲笑っている様だった。