肉を噛みたい。

おもにいぬになりたいひとのしをかいてます。

あの日の林檎

甘く甘く

そして苦い

林檎

 

初めて私を見つけてもらった

苦くて甘い、居場所をくれた

 

あの日くれた林檎は今もそうっと包んで宝箱

奥底に滲み出す猛毒の林檎の甘い甘い汁

宝箱は甘い猛毒の汁でだんだんくすんでいく

 

じわり じわり

じわ り じわ り                   じわっ

 

林檎はどんどん熟れていく

艶々で柔らかそうな林檎

えいやっと指で突いてみる

 

ずぶっ

 

 

あぁ もう逃げられない

いつかのラブレターは燃やしてしまった

いつかのラブレターは燃やしてしまった

あんなに想いを込めて書いたのに

燃やしてしまった

 

耐えられなかったんだと思う

自分の想いの重さに

自分の調子の良さに

 

 一生  というの時間の長さに

ビビって引っ込めた左手

 

覚悟が決まらない

 

それでも 

絶えず貴方を思ってまたラブレターを書く

書いては消しての繰り返し

 

いつか いつか

覚悟ができたときは

その時は貴方にこのラブレターを

お渡しします

 

と 思いながらまた燃やすんだ

意気地無し

 

 

満ちるために欠けて 欠けるために満ちていく

 

当たり前の事が

私たちにも有ればいいのに

 

さあ 

もうおやすみ

いい夢見るのよ 私の

可愛いお月様

眩い朝日に燃え尽きる背中

まだ温かい布団の中、ひとり貴方を思い出す。

燃え盛る炎の中でただただ私を抱きしめている。

 

体の全てが燃えちぎれて

動かないはずの両手で抱きしめ合う。

 

途切れる呼吸

繋ぐ互いの口付け

視界を曇らす涙

確かに感じた互いの体温

 

ひとつの大きな炎となって

この身を心を溶かし尽くす

 

 

たったひとときのために

この一瞬のために私は私を磨くのだった。

あなたの隣で眠る事を夢見て。

 

いつか、貴方の背中にくっついて

安眠する犬になれたら。

 

そうしたらきっといつか、

心で伝えたい。

 

『       』

夜明の女

働き蟻の蠢く彼は誰時、工場の鈍色の灯りと白い白い煙に炙り出された美しくも不気味な空には、鋭い三日月が心許なさそうに微笑んでいた。

 突然、心を掴まれた気がした。

なぜだか、鋭いあの三日月が寂しそうなあなたの横顔に見えてしまったのだ。

今すぐにでも抱き締めてやりたくて、思わず手のひらをひろげたが、空虚なうす暗闇が踊っているだけだった。

浅ましい私を嘲笑っている様だった。

目玉焼きになりたい

目玉焼きになりたい

私と2人写る写真はまるで目玉焼き

 

2人して真白のTシャツ

逃げる笑顔と

それでも嬉しそうな笑顔とが

くっついてとけあって

まるで双子卵の目玉焼き

 

きみときみとは溶け合わず

しろみだけが溶け合って一つに

なったきがした

 

ただずっと

溶け合って一つに固まって

そのまま朝が来ても

ずっとそのまま

そのまま夜が来て朝が

来ればいいと

眼裏に焼き付けて

朝日に絶望する

 

またあした

おやすみなさい