水浸しの枕
まただ。
目が覚めると枕が濡れている。
それもびっしょり。
自分の涙で水浸しだ。
このところ、毎晩夢を見る。
あなたの夢を。
あなたに会いたくて会えなくてかなしい夢。
目の前にいるのに触れられない夢。
あなたの声は聞こえるのに自分の声だけが音にならない夢。
目を覚ますと、枕が濡れているのだ。
次第にそれが小さなシミなどという可愛いものではなくなり、やがて大きくなった。
そして今日は水浸しだ。
ベッドじゅうが濡れていて気持ち悪くて目が覚める。
あなたに会えない一日は数年のような気がしてきてしまう。たった一日が、私にはもっとたくさんの時間会えなかったような気がしてくるのだ。
あなたのことを考えること以外にもたくさん、たくさん忙しく考え事だったり予定などはあるのに、何故だかどうしても、あなたのことを考え出す。
自分に耐えられなくなって、眠れぬ夜をお酒で誤魔化す。そうしてやり過ごして行くうちに、いつのまにか私の中のあなたが見えなくなる。
見えなくなってぼうっとしてきて、はたと気付いて哀しくなる。
その繰り返し。
また、眠れぬ夜を眠るのだ。
また、水浸しの目覚めなのだ。
いっそ 泳いでしまいたい。
泳いで、あなたに会いにいけたら。